マンション専有部分の修繕やリフォームを検討中の区分所有者の皆様、および施工を担当される業者の皆様へ。マンションの専有部分に対する修繕等(リフォーム等)は、単に住まいの快適性を向上させるだけではなく、マンション全体の構造や他の居住者の生活にも影響を与えうる重要な行為です。
そのため、こうした工事を行う際には、建物の躯体への影響を十分に考慮し、施工に関する仕様書、工程表等を管理組合へ事前に申請し、承認が不可欠となります。このプロセスは、全ての居住者が建物(マンション)を長期にわたり安全と快適性を持って維持していくために、管理組合が最も重視している点です。
申請の必要性とその手続き
今回のお話は、標準管理規約第17条(専有部分の修繕等)及び17条コメントに基づき、専有部分の修繕等(リフォーム)を行う際に付いてのご紹介です。
共用部分(躯体等)や他の専有部分に影響を及ぼす可能性のある工事について、事前に理事長への申請と承認が必要です。これには、床のフローリングの変更、ユニットバスやシステムキッチンの設置、エアコンの取り付け、配管や配線の変更、間取りの変更などが含まれます。
申請書には、設計図、仕様書、工程表を添付し、工事の詳細を明らかにすることが求められます。この手続きは、理事長だけでなく、理事会の決議によって承認または不承認が決定されます。
承認の判断基準
承認の判断には、構造上の影響、防火・防音対策、耐力計算上の問題など、専門的な判断が必要となる場合があります。そのため、建築士や専門家の意見を求めることもあり得ます。特に、工事が共用部分に影響を及ぼす場合や、上下左右の住戸に著しい影響を与える恐れがある場合には、細心の注意を払います。
工事中の注意事項
工事を行う際には、他の住戸への騒音や振動、臭気などの影響を最小限に抑えることが求められます。また、工事中の立ち入り調査を拒否することはできません。これは、工事が規約に沿って適切に行われているかを確認するためです。
事後の対応
万一、工事によって共用部分や他の専有部分に影響が生じた場合には、工事を発注した区分所有者がその責任と負担において必要な措置を講じなければなりません。これは、他の住戸への迷惑やマンション全体の価値を守るために非常に重要な規則です。
最後に
マンションの専有部分の修繕等(リフォーム等)は、自分の生活空間をより良くするための重要なステップですが、マンション建物全体の長期間にわたる維持と、安全や快適性を守るためには、管理組合のルールを遵守することが必須です。事前の申請と承認を経ることで、スムーズに工事を進め、より良いマンションライフを実現しましょう。
工事を検討されている区分所有者の皆さま、施工業者の皆さま、このプロセスを通じて、より良いマンションコミュニティの実現にご協力いただければ幸いです。